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2020.08.16 Sunday

お茶のはなし


暑いときは濃いめに淹れたジャスミン茶など良いよね、と書こうとしたら

記憶がとんとんとん、と走り出して、1997年のマレーシアを思い出した。

クアラルンプールで見つけた安宿は中華街(神戸や横浜みたいなゴージャス感はなかった)にあって、
暑い時期だったけど街角の簡素な屋台で黒茶や緑茶らしきものをグラス売りしていた。
なんだか得体が知れなくて結局飲まなかったけど、薬茶みたいなものだったのかな。
そこから、北のペナン島にたどり着くまで、のらりくらりで2ヶ月ほどかかった。
華人が多く暮らすジョージタウンという中心街で泊まったのは「裕興旅店」という安宿で、
ネームカードにも堂々とチープホテル と書いてあった。
1Fの台所に行くと、適当な絵付けの中国風の急須に茶葉を入れて、保温ポットに入ったたっぷりの湯と一緒に素っ気なく渡された。
毎日水ばかり飲んでいたので、久しぶりのお茶に癒されたのをよく覚えている。
それ以来、インドネシアからフィリピン周辺を行ったり来たりしている。
そこで見てきた風景が僕の価値観の結構な部分を作っている。
市井の、地味だけど地に足着いた生活から、道具や建築が生まれ出ずるというリアリティー。
デザインはデザイナーやデザインラバーのものではない。
建築や家具をデザインするとき、このことをよりどころとして大切にしている。
田舎まちの市場や屋台は特に注意深く、時間をかけて歩くといつも発見がある。
屋台の照明は、少ない要素でいかに魅力的な雰囲気を作るか、繰り返す毎日の工夫のハイライトだ。
針金で引っ掛けるだけの照明器具は簡単に位置を更新でるから、
今日はちょっと右に寄せてみようか、電球を一つ増やしてみようか、
フットワーク軽く調整できる。
客の反応もダイレクトに受け取れるからマーケティングなんて概念もいらない。
心を込めておいしいものを作って、きれいに並べる。
常連が毎日通ってくれる店が正義。
という、まとまらないお茶の話でした。

kousakusha | | 16:55 | comments(0) | -

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